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【10】選別作業対策
けたびき網尻を吊上げることで前方甲板上に積み上げずられた漁獲物は生貝のほか、いろいろな雑物が混獲となっている。雑物は海底の状況により種々ではあるが、主として岩石類、ヒトデ類、空または死貝、ところによっては、ホヤ類等がとれるとのことであり、岩石では40cm位のものまでとれることがあるようだ。
これらより生成貝のみを選別し、臆内への投げ込みを逐次行い、雑物のうちヒトデ類、ホヤ類はカゴに入れ揚陸の段取りをして、他は船外投棄となる。
選別作業は、船首に向かい“シャガミ”の姿勢で、積み上げられた山の後方より生成貝のみを選別し、逐次臆内へ投げ込み、雑物のうちヒトデ類、ホヤ類はカゴに入れ揚陸の段取りをして、他は船外投棄等を行っている。なお、岩石等の船外投棄は選別後となるものと思われる。
選別作業は投揚網間の合間を利用し行うため短い時間で行う必要かある。これに加えて臆内への投入員を艙内を隅々まで押し込む作業も行わなければならない。従って、多くの漁獲量のときには多大の労力と体力が必要となるが、これらに要する労力は操業中において最も過酷と感じられるため、この省力のための改善が要求されている。
今回の計画では、選別方法は従来どおりとするが、労力の低減を図るため、選別作業場所となる艙口両側甲板の舷側に雑物投棄用トイを設けるとともに、その上面上に概ね艙口縁材高さで木製敷板を設けることとし、流水により投棄することとした。(略図を参照)また、甲板を200mm程度隆起させて、投入部の深さを増加させることにより、積み込み中の漁獲物の艙内の隅々への押し込み作業の軽減を図る。
?@雑物投棄用トイ
選別作業場所となる臆口両側甲板の舷側に雑物投棄用トイを設ける。雑物は、水流を利用し、トイ後端部の釣台形状の舷側ブルワークの投棄用開口より船外へと導く。
?A作業場所敷板
雑物投棄用トイ上に木製敷板を敷き、臆口縁材高さに概ね同じ高さとすることで、選別作業時の労力の低減を図るとともに、貝類の破損の減少を図る。
なお、甲板上の選別作業について、次のような方法も検討したが、現状の操業方法を前提として検討していることから採用できなかった。今後、なお一層の選別作業の合理的手法の開発が望まれる。
《1》機械力に代替えする方法
各方面で開発が望まれており、検討されているが、この程度の規模の船に設備する装置としては、その能力、占有面積及び空間が膨大なものとなるため、現実は非常に難しく、開発には至らないのが実状である。

 

 

 

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